Serverless Operations, inc

>_cd /works/id_501

title

建設会社のDX実現と内製化体制構築に向けて、クラウドネイティブなIT人材の育成を支援

og:image

client

戸田建設株式会社

戸田建設(株)は、高層ビルの建設からトンネルなどの土木事業まで幅広く手がける建設会社です。1881年に創業した141年以上の歴史を持つ業界大手であり、近年では再生可能エネルギー事業を手がけるなど、先進的な取り組みも行っています。

summary

  • 市場環境の変化に柔軟に、素早く対応するため、内製化が必要に
  • クラウドネイティブなIT人財育成を支援するため、開発チームの一員のように密に連携してQ&A対応
  • コーディング経験ゼロの人材が半年でプロダクト開発が可能に成長、IT人材育成のモデルケースに

はじめに

同社のICT統轄部DX推進室(以下、DX推進室)は、全社的なデジタルトランスフォーメーションの推進を担い、社内向けのツール開発であったり、現在建設中の新社屋、(仮称)TODA BUILDING に実装するサービス開発であったりを行っています。また、それと同時にIT人材の育成も重要なミッションです。

今回、Serverless Operationsは、DX推進室における人材育成の支援を実施しました。なぜ、戸田建設がServerless Operationsに支援を依頼したのか、それによってどのような成果があったのかを、同社DX推進室の宮崎さんと栗本さん、宮路さんにうかがいました。

上段左から時計回りで、Serverless Operationsの堀家、戸田建設(株)ICT統轄部DX推進室の栗本さん、宮崎さん、宮路さん、ライターの青山
上段左から時計回りで、Serverless Operationsの堀家、戸田建設(株)ICT統轄部DX推進室の栗本さん、宮崎さん、宮路さん、ライターの青山

1から10ではなく1から3をできるIT人材が必要

――DX推進室ではIT人材の育成に取り組んでいらっしゃるとのことですが、建設会社が求めるIT人材とはどのようなものでしょうか。

宮崎 DX推進室の役割は、名前の通り全社的なデジタルトランスフォーメーションの推進と、IT人材の育成があります。私たちの会社は日本全国に支店があり、さらにその先には年間で300以上の建築や土木の現場が稼動しています。

こうした現場にもさまざまなITツールが入って来ていますが、なかなか受け入れられなかったり、十分に活用できていなかったりすることがあります。こうした状況を受け、自分たちの課題に対して、ITを使った解決に取り組むことができる、そんな現場の人材を増やして行きたいと考えています。

そこで、最初の取り組みとして、全社に対して募集を掛けて応募して来たなかから、一定期間以上現業に携わった30名の社員を選抜し、東洋大学情報連携学部(INIAD)によるリカレント教育を受講してもらい、新たなデジタルスキルを身につける人材育成を開始しました。そして、そこからさらに試験等で絞り込んだ10名が、昨年10月からDX推進室に加わりました。栗本と宮路もその社内選抜を経て加わったメンバーです。彼らは、DX推進室で2年間、ITについて学んでもらい、ゆくゆくは支店や現場に戻り、そこで活躍してもらう教育構想となっています。

労働人口が減少するなか、建設業界の人手不足も深刻になってきています。そうしたなかでも、より少ない人数で、これまでと同じ仕事の質を達成するには、やはりITの力が必要です。ただし、いきなりIT開発を1から10まで1人でできるような、レベルの高いIT人材を増やそうとしているわけではありません。私たちに必要なのは、システムやサービスを自分で企画し、モックを作ることができるくらいの、まずは1から3くらいまで出来る人間が、社内に10~20人程度いるようにすることです。

――そうしたIT人材の育成において、Serverless Operationsにはどのような形で支援を依頼したのでしょうか。

宮崎 DX推進室では4~5名のチームに分かれて、AWS上で開発を行っています。社内選抜でDX推進室に加わった新たなメンバーのほとんどが、IT開発の経験がまったくありませんでした。ですから、リカレント教育、Udemyなどのeラーニングで基礎を学んでもらうのと並行して、Serverless Operationsさんによるインフラ設計やフロントエンド開発などの講座を設置してもらい、2週間に1~2回のペースでやってきました。

その後は、チームごとにプロダクト開発に取り組んでいます。そのなかで、企画や要件定義、設計、コーディングなど各フェーズごとに疑問点が出てくるので、Slackで質問したり、Webミーティングツールで画面を共有しながらアドバイスをもらったり、ということをやっています。初期にはVR空間でのバーチャルオフィスを用意して、毎週決まった曜日にServerless Operationsさんに待機いただいていました。その時は、質問待ちで社員の行列ができることもありました。

堀家 多くの企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組むなかで、ITツールの内製化へのニーズが大きくなっており、私たちへの依頼の7割くらいが今回のような形式になって来ています。

IT業界に限らず多くの業界において、ITで解決できる課題が多くなっているなかで、従来のように外部の開発会社に依頼するのでは、時間も手間も掛かります。また、本当に必要とするものが出来なかったり、開発に失敗したりするリスクもあります。

それに対して、クラウドによって開発のハードルが下がってきたことから、自分たちの課題は自分たちが一番よくわかっている、ということでITの内製化に取り組む会社が増えてます。

一方、私たちにとっても、単純な「こういうアプリを作って欲しい」という開発依頼は、「動けば何でも良い」ということになりがちで、クラウドの尖った領域に強い会社である私たちとしては、あまり技術的な強みを活かすことができません。

それよりも、それぞれの事業会社が、自分たちが必要なものを自分たちで作ろうとする、さらにそれをクラウド上で実現する、そのために必要なことの支援は、その会社にとっても私たちに取っても良いことですし、これからの時代に合った形だと思っています。

戸田建設のDX推進室内の3つの開発チームを、Serverless Operationsによる座学講座やレビュー、QA対応によって支援した

すばやく質問に答えてくれる、頼りになる先生

――実際にServerless Operationsによる開発支援を受けて、どんなメリットがありましたか。

栗本 私は入社11年目ですが、ずっと構造設計を担当していて、ITに関しては興味はありましたが、一般的な知識レベルでした。だから、堀家さんを始めとしてServerless Operationsのみなさんは、とても話しやすくて助かっています。

開発するときは、1から勉強することが多いので、eラーニングで基本的な知識を得てから、Serverless Operationsのレクチャーを受けてエンジニアとしての考え方や常識を取り入れながら、作っていきます。ITについて僕らはまったく知識がない立場なので、初歩的な質問や変な質問もしてしまうのですが、どんな質問でも聞いてください、という雰囲気なのですごく相談しやすいですね。

最初に設計する段階でも、疑問があればすぐに相談します。知識がないので、非効率な方法や、難しい実装で突っ走ろうとしてしまうことがありますが、初期の段階で修正していただけるので助かっています。

宮路 私は入社して12年になります。最初の3年間は現場管理をしていて、その後は建築現場を支援する技術部署にいました。

Serverless Operationsさんには、最初、初歩的なことばかり質問していましたが、最近は複合的なエラーで自分で調べ尽くしてもわからないことを質問するようになってきたので、ちょっとずつレベルが上がってきている実感があります。

Serverless Operationsさんは質問に答えてくれるときに、単純にコードの修正だけじゃなくて、公式ドキュメントのソースも含めて回答してくれるので、その後で自分で勉強することができて、より理解が深まります。

付け焼き刃の知識じゃなくて、技術に対する根本的な理解につながる回答をいただけるので、とても満足度が高いですね。

栗本 Serverless Operationsさんからは、ITや開発における考え方みたいなものも学ぶことができていて、例えばデータベースの設計においても、データ構造だけでなくて、それを前提にしてフロント側のことも同時に考えることができるようになってきたのは感じています。

昨日もSlackで質問しましたが、即座に返事をいただいて、今日はそこの所を直して次の作業に入れてます。

宮崎 疑問点を即座に解決してくれるのは、非常に満足度が高いですね。悩んでいる時間って、正直もったいないじゃないですか。もちろん、なんでも考えずにすぐに聞くのは良くないのでバランスは必要です。でも、考えてもわからないことはやっぱりあるので、自分である程度調べた上でもわからないことを聞くと、すぐに答えが返ってくることは、メンバーのレベルアップに効いていると思います。

Serverless Operationsの支援によってDX推進室のメンバーが開発した社内向け広報用ニュースサイトの構成図。主要な機能をすべてAWS上で構築している

Serverless Operationsの支援を経て今後のIT人材育成の道筋が見えた

――そもそも戸田建設がServerless Operationsに依頼したのは、どのような経緯があったのでしょうか。

宮崎 AWSが主催する「ANGEL Dojo」という若手のエンジニア向けの育成プログラムがあり、そこに参加したのがきっかけでした。もともとは、AWSのパートナー企業だけが対象だったのですが、最近はユーザー企業も参加できるようになり、そこでパートナー企業に対してユーザー企業が相談できる企画があって、そこで堀家さんに出会いました。

その時のメモが残っているんですが、Serverless Operationsさんは我々のチームの一員のような位置づけで支援ができる、ということをアピールされていたんですね。さらに、Serverless Operationsの皆さんが、クラウド開発のインフラからフロントまで高いレベルの知識を持っていることも、強く感じました。

あとは、とにかく堀家さんがフランクだったのが強く印象に残っています(笑)。社長がこれだけフランクなら、きっと他のメンバーもそうなんだろうな、という期待が持てたんですね。

そのANGEL Dojoの参加後、自分たちでプロダクトを作り終え、動かすところまではできました。ただし、本当にこれでいいのか、という不安が残っていたんです。わからないことはネットで調べることができるけど、時間が掛かるし、その方法が本当にベストプラクティスなのかわからない。そこで、先生が必要だと考えて、ANGEL Dojoでお話ししたAWSのパートナー企業にいくつかお声がけしたなかで、最終的にServerless Operationsさんに決めました。

堀家 ANGEL Dojoは、もともと若手エンジニアのスキルアップを目指したものだったんですが、裏の狙いとしてパートナー企業とユーザー企業との出会いの場になることもありました。きちんと、ユーザー企業がパートナー企業に相談できるようなプログラムになっていたので、お互いに遠慮なく話すことができたという意味でも、お見合いの場として機能していたんだと思います。

――Serverless Operationsの支援によってIT人材を育成する今回の取り組みは、今後、会社または個人にどのような変化をもたらすのでしょうか。

栗本 この先、支店や別の部署に行くことがあれば、周りの人にITの知識を教えたりする場面は増えていくと思います。そうやって知識を持つ人が増えていって、ITと建築・土木の両方の知識を持つことで、新たな課題を見つけられるようになる、そういったことも会社からは期待されていると思うので、そこで新しいものを作っていければいいと思っています。

宮崎 これまでまったくコードを書いたことがなかったメンバーが、今ではプロダクトを作れるようになっています。Serverless Operationsの支援を受けてから、「AWS Certified Solutions Architect – Associate」の取得者が3名から8名に増えたように、着実にIT人材の育成の成果が現れています。

一定期間で、どのくらいの教育をすれば、このレベルまで成長できるというのを感覚的に掴めたのは大きいですね。今いるメンバーも学んだことを社内Wikiにまとめたり、個人の知識をチームの知識にする取り組みをやってくれているし、ユーザー企業のなかでどういう風にIT人材を育成していくべきか、その方向が見えてきています。

Back
to list
<-