Serverless Operations, inc

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ソリューション事業の強化に際し内製化を進めるエレクトロニクス商社、エンジニアリング部門のチーム開発とメンバーのスキルアップを支援

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株式会社RYODEN

株式会社RYODENは、オフィスビルの電気、機械設備、工場の生産設備などを取り扱う、エレクトロニクス商社です。近年は、そうした施設や設備に付随するICTソリューションも手がけるなど、その事業範囲を拡大しています。同社は2023年に社名を菱電商事からRYODENへと商号変更したことを筆頭に、次世代の成長事業の創出を目指して、様々な改革に取り組んでいます。

summary

  • 内製化推進で開発部門を集約した結果、メンバー間でスキルにギャップが生まれた
  • 経験の浅いメンバーにプロジェクトのなかで成功体験を積ませるハンズオンの支援を実施
  • メンバーのマインドが変化して自主性が向上し、同時にチーム開発の定着も実現

RYODENでは次世代の成長事業の創出行うための施策のひとつとして、新規事業創出に向けた組織体制の変更や、ICT関連ソリューションの内製化を進めています。

そうした状況で、同社の戦略技術センター 戦略技術部 開発グループでは、食品工場向けの衛生関連システムをクラウドベースで内部開発を行うことになりました。食品工場における衛生管理のため、虫を捕獲し数えるというオペレーションを自動化することで、省力化を図ろうという試みです。

クラウドベースのチーム開発の経験がなかった同社は、同プロジェクトに取り組むに当たって、サーバーレスオペレーションズに支援を求めました。そのプロジェクトの背景と、取り組みの前後でどんな変化があったのか、RYODEN 戦略技術センター 戦略技術部 開発グループの川上貴徳さん、熊谷雄太さん、前田一眞さん、上谷徹さんと、サーバーレスオペレーションズの堀家と金に、改めてプロジェクトを振り返っていただきました。

――RYODEN様が取り組まれた、食品工場向けの防虫対策ソリューションのクラウドベースでの構築を、サーバーレスオペレーションが支援いたしました。このソリューションは、どのようなものですか。

川上 我々のお客様には、食品工場向けの防虫・衛生管理をなされている事業者がいらっしゃいます。食品工場では衛生管理のため、捕虫器を設置し、数時間ごとに巡回し、捕まえた虫の数をカウントする業務があります。この業務はDXが進んでいないエリアであるため、今後の人手不足やコスト削減を見越して省力化を図るため、IoTデバイスやAI、クラウドを使ったシステムの構築を計画しました。

具体的には、捕虫器をIoTカメラで撮影し、モバイル回線を経由して、画像をS3上にアップロード。その画像をLambda上のAIが捉えた虫をカウントして、専用のウェブページから見ることができるというシステムです。

食品業界では食の安全・安心を実現するため、施設内のネズミなどの小動物やムシなどを防ぐ「ペストコントロール」と言われる業務を行っています。このペストコントロールを食品工場から委託されて取り組んでいる事業者をペストコントロールオフィサーと言います。このペストコントロールオフィサーが、私たちのお客様になります。

以前から、私たちは、食品工場向けのネズミのリアルタイム検知サービスである「Pescle」というソリューションを展開していました。今回の取り組みは、その対象を「飛翔する虫」へと拡張したものになります。

PescleのAWSシステム構成図
PescleのAWSシステム構成図

――今回のプロジェクトにあたって、どのような課題があったのでしょうか。

川上 これまでもクラウドベースでの開発自体は行ってきました。ただ、会社の方針としてよりソリューションの開発に力を入れていくにあたって、クラウドでの開発を内製化できる体制を推進していくことになりました。

以前は各事業部ごとに置かれていた新規事業開発を担当していた部門が、ひとつにまとめられることになりました。そのため、これまでFA向けにC言語やアセンブラによる組み込み開発などを行ってきたメンバーが、新たに同じ部署になりました。

ただ、私もそうなのですが、これまでの開発は、それぞれのエンジニアが個別に開発したり、協力会社と一緒に開発することが多かったんです。ソリューション開発に力を入れていくなかで、開発のスピードや品質を向上させるためには、チーム開発を欠かすことができません。

そこで、試しに「Pescle」の初期開発に関して、3人のベテランメンバーによるチーム開発を行ったところ、ローンチするまでの期間が従来よりも非常に短くすることができたんです。ただ、チーム開発の進め方が自己流だったので、経験の浅いメンバーにどうやって教えていくのか、AWSを利用する上での技術的なノウハウについても、本当にこれで良いのかという不安があったんです。

――組み込みの開発と、クラウドベースのチーム開発とでは、同じプログラミングであっても、そんなに異なるものなんでしょうか?

左からRYODEN前田様、上谷様
左からRYODEN前田様、上谷様

前田 同じプログラミングという業務でも、組み込みとクラウドとでは、前提知識や文化みたいなものが、まったく違います。組み込みには、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー&デプロイ)という考え方がないですし、テストもテストコードを書くのではなく、実機で動かしてみるしかありません。

本当に文化が違うんです。私自身、初めてクラウドでの開発に取り組んだ際に、とても苦労しました。今まで開発していて、本当にこのやり方で良いのか、という不安がありました。

そこで、クラウドとチーム開発のプロにお願いして、チーム開発のやり方と、クラウド開発のベストプラクティスを教えてもらおうということになって、AWSにそういった支援を行ってくれるところはないか、と相談をしたところサーバーレスオペレーションズさんをご紹介いただいたんです。

堀家 以前、私どもが内製化のご支援をした戸田建設さんの事例を、AWSのご担当者が見ていらっしゃったんです。それで、RYODENさんのご相談にマッチするのではないか、ということで私たちにご連絡をいただいたんです。

それに、私たちと戸田建設さんがお仕事をするきっかけになった、AWSが開催した内製化推進のためのイベント「ANGEL Dojo」に、RYODENさんも参加されていたんです。そんなご縁が重なったこともあって、今回のご支援に繋がりました。

サーバーレスオペレーションズの堀家
サーバーレスオペレーションズの堀家

――RYODENさんからは、具体的にはどのような形で依頼があったのでしょうか?

金 内製化の支援をして欲しい、ということでご相談を受けました。特に、ベテランのメンバーと、そうではないメンバーとのスキルの差をどうやって埋めていくか、という点を解決したいというご要望を強くいただきました。

そこで、これまで私たちが多くの企業を支援してきた経験をもとに、実際に開発プロジェクトに経験の浅いメンバーも参加してもらい、タスクをこなしてプロジェクトを完了させる「成功体験」を得ることが大切だと考えました。それによって、仕事の進め方や開発に必要なスキルを身につけていってもらおうと、そういった提案をさせていただきました。

前田 ご提案をいただいた際に金さんから、経験が浅いメンバーは尻込みするかもしれないけど、強い気持ちで引っ張っていくことによって、タスクをこなす成功体験を得て欲しい、と仰ったんですね。最初は不安を感じたのですが、何かをやりきることから学べることが多い、という点に強く共感しました。

以前は、経験の浅いメンバーに仕事を任せる時は、できるだけ自主的に進めてもらうようにしていました。ところが、もともと個人がバラバラに開発する文化だったため、細かくメンバーをフォローできなかったこともあって、任せた仕事の進捗がなかなか捗らず、成長のスピードにも物足りなさを感じていました。

そこで、サーバーレスオペレーションズのご支援を受けて、メンバーに寄り添い、コミュニケーションを取りながら、小さなタスクを完結させていくことで、成功体験を積み重ねることができました。メンバーが自信を持って仕事ができるようになったことで、チーム全体でも、チームとしての仕事の仕方や、メンバー同士の信頼感が生まれてきました。

いまでは、例えば何か不具合が発生したら、各メンバーが自分から手を挙げて、タスクを巻き取ってくれるほどになりました。

RYODEN上谷様
RYODEN上谷様

上谷 これまでエンジニアの育成については、明確な制度や体系的な教え方をしてこなかったんですね。私自身もそうですが、教えてもらうというよりは、自分達で勝手に学んで来てしまった。ただ、事業環境の変化などがあって、新しいメンバーの自主的な成長を待っていられる状況ではありませんでした。

そこで、サーバーレスオペレーションズさんからの提案は納得できるものでしたので、お任せすることにしました。その結果、今ではメンバーが皆、自発的に動いてくれるようになったので、かなりよい方向に進むことができていることを実感しています。

――最近のソフトウェア開発の現場においては、プロジェクトと同時に、チームや人のマネジメントにもフォーカスするようになりましたが、そうした面での効果もあったんですね。その他の点での変化はありましたか?

前田 テクニカルな面では、フロントエンドやバックエンドのアーキテクチャについてサーバーレスオペレーションズさんから構成を提案いただいて、ソースコードの保守のしやすさが格段に上がりました。

川上 これまでは、未経験の分野で手探りしながらやっていたので、自分達のなかに明確な答えがないまま開発をしていたんです。そこに、明確な答えやベストプラクティスを示していただいたことで、効率的に開発できるようになりました。技術的なことで、わからないことや悩むことに対して、駆け込み寺じゃないですが頼ることができるところがあるということで、安心して仕事に臨めました。

上谷 私は前職がSIerだったのですが、周りからは技術面で頼られるケースが多かったんです。ただ、クラウドでの開発経験はRYODENに入社するまではなかったので、決して詳しいわけではないんです。そこで、サーバーレスオペレーションズという相談できるプロフェッショナルが近くにいたというのは、とても心強かったです。

前田 一番の大きな変化は、メンバー全員のマインドの変化だと思います。先ほどお話ししたように、自発的に動いてくれるようになったことに加えて、Githubなどの開発に必要なツールの使い方もスキルが上がったので、最近ではほとんど質問を受ける事もなくなりました。

金 今回のご支援は、特定の技術やスキルなどにフォーカスするのではなく、全方位的なサポートを目指しました。そうしたツールの使い方なども覚える必要がありますが、先ほどお話ししたように、プロジェクトの開始から完了までを経験してもらい、自信を付けてもらうことが大切だと考えました。だから、ご支援についても、全方位でサポートすることに注意を払いました。

――今回のサーバーレスオペレーションズによる内製化のご支援について、改めてご感想をお聞かせください。

前田 サーバーレスオペレーションズさんから支援をいただくまでは、専門誌の記事で内製化に失敗した企業の事例も多くあったので、このままだとチームがダメになるかもしれない、とすら感じていました。そこから、内製化のメリットを社内にアピールできるまでになったのは、とても凄いことです。今回の経験を元に、今後は新卒のメンバーが入ってくるので、そこでの教え方についても、考えていきたいですね。

上谷 おかげでメンバーが成長してきたので、今後はプログラミングだけでなくアーキテクチャ設計についても、できる人には任せていきたいと思っています。単にプログラムを作るだけでなく、エンジニアとして独り立ちして欲しいので、そうしたところの教育を充実させるところでも、サーバーレスオペレーションズさんには支援をお願いしたいと思っています。

金 今回のご支援については、RYODENさんのベテランエンジニアの皆さんに、私たちがサポートしやすい環境を作っていただいたり、メンバー同士の調整をしていただいたりと、さまざまなところでご協力があったからこそだと思います。RYODENの皆さんがチームの大切さを認識していただいたからこそ、私たちも効果的に動くことができたことに感謝しています。

堀家 先ほど、マインドが変わったとうかがって、改めて今回のご支援を成功させられたと実感できました。内製化を進める上で、メンバーのマインドが変わったとわかる状態にまでなれば、チームとしてエンジニアとして今後も自走していけると信じています。

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