予知保全は工場における効率化の強い武器
予知保全では工場の生産設備にセンサーを取り付けて、そのデータをクラウド上に集計することからスタートします。
単純に設備の稼動時間や回数であったり、振動や温度変化、回転機構を持つものならその回転数などを計測します。そこから、機械の状況や状態を可視化し、故障を予測し、トラブルの原因は何かを探ることを目指します。
可動部分を持つ機械は、動かし続けることによって、部品が摩耗したり、材料が詰まったり、振動などでズレが生じたりといった、様々な不具合が蓄積していきます。そのまま放っておくと、部品が壊れて動かなくなったり、不良品を作ってしまったりと、正常な生産活動が不可能な状態になります。その結果、チョコ停やドカ停と呼ばれる製造ラインの停止を招くことになります。
例えば、製造設備の回転機構が一定の回転数を超えると故障しやすくなったり、材料が流れるパイプを一定期間ごとに洗浄しないと詰まりやすくなったりするため、設備を安定的に稼動させるためには、こうした現象を洗い出し、備える必要があります。
従来、工場においては「予防保全」の考え方によって、一定の稼動時間や期間に応じて、消耗品を交換したり、適切な整備を行ったりすることによって、トラブルを予め防いでいました。しかし、予防保全では、トラブルが発生する可能性を最小化できる一方で、メンテナンスに必要な時間が固定され、コストも本来必要とされるよりも掛かります。
しかし、「予知保全」においては、設備の様々な状態をセンサーによって取得し、そのデータを収集、分析、可視化することで、部品の交換や清掃などのメンテナンスのタイミングを最適化することができます。AWSならば、AWS IoT Core を使ってセンサーデータを安全かつ効率的にクラウドに収集し、Amazon OpenSearch Serviceによって収集したデータをリアルタイムに分析・可視化することができ、予知保全の基盤を低コストで実現することができます。
予知保全のために集めたデータが業務改善に繋がる
予知保全のためにクラウド上にデータを集め、ダッシュボードを構築し、稼動時間や温度などの稼働状況を可視化し、担当者がリアルタイムで把握できるようにすることはもちろん、そのデータを使って工場の稼働率を明らかにし、より精緻な生産計画の立案ができ、さらに計画の進捗もリアルタイムで管理できるようになります。事業の遂行において、これは非常に大きなことです。
さらに、一度データをクラウド上に集めれば、そこから更なる活用が可能です。例えば、ダッシュボードを単にデータを見るためだけでなく、担当者が直接消耗品を発注できるようにしたり、生産計画に係る業務を行えるようにしたりと、業務改善に結びつけていくことも可能です。
つまり、予知保全のための仕組みとデータは、より大きな視点で見れば工場における生産に関わる業務改善にも繋がるわけです。チョコ停ドカ停を回避することによる生産性向上だけでなく、日常業務のオペレーションの改善、部材のより効率的な利用、不良品が生じやすいタイミングの回避等々、より多くの価値を生み出すことができるはずです。
サーバーレスでシステム運用の固定費を最小限に
ITシステムを作る私たちの視点からは、工場におけるセンサーIoTとクラウドの組合せは良いことずくめだと考えます。一方で、当事者である工場側の視点では、新たなシステムの導入は開発工数も導入費用も掛かるし、更にサーバー代であったり、アプリケーションのライセンスフィーだったりが発生したり、いずれにしろ「お金が掛かるんでしょ?」と仰られることがしばしばあります。
しかし、そこでこそ弊社の強みであるサーバーレスアーキテクチャの強みを発揮します。AWSにはAWS IoTというセンサーIoTに適したサービスがあり、またデータ分析と可視化においてもAmazon OpenSearch Service、Amazon QuickSight、Amazon Redshiftなどのサービスがあり、固定費がほとんど掛からない形で予知保全のシステムを構築できます。
人材不足であったり、円安等による原材料費や電気料金の値上がりだったり、環境問題に起因する規制への対応であったりと、製造業を取り巻く事業環境は厳しさを増すばかりです。しかし、既存の設備を活用しつつも、センサーIoTとクラウドによるスマート化で、効率化や最適化をはかり生産性を向上することは十分に可能です。
私たちサーバーレスオペレーションズは、サーバーレスアーキテクチャによるクラウドシステムの構築を強みとするだけでなく、工場などの生産設備におけるIoT導入やスマート化の取り組みにおいても多くの実績があります。こうした取り組みに興味のある方から、すでに取り組まれていて更なるデータ活用に取り組もうとされている方まで、様々なケースに対応できますので、ぜひお問い合わせください。