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決済プラットフォーム「Stripe」での複雑な料金体系の設定を試す――「Stripe」の全貌 後編

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AWSでECサイトや有償サービスを構築する際、AWSには決済機能がないため、外部の決済プラットフォームと組み合わせる必要があります。そこで多く採用されているのがStripeです。オンライン決済のStripeは、開発・運用・経営のあらゆる層から高い評価を得ており、AWS上でECや有償サービスを構築する際の外部サービスとして、多く用いられています。前編ではStripeの概要について説明しましたが、後編では実際に柔軟な料金体系をどのように設定可能なのか、見てみましょう。

サブスクから従量課金に段階定額まで何でもOK

複雑な料金体系の実装は、決済システム開発における大きな課題の一つです。特にSaaS事業では、月額固定、従量課金、段階的な価格設定など、様々な料金モデルを組み合わせる必要があります。Stripeは、この課題に対してユニークなアプローチで対応しています。

Stripeでは、「最初の1000ユーザーまでは1ユーザー500円、それ以降は1ユーザー400円」といった複雑な料金体系を「price_basic_tier」といったシンプルなIDで抽象化して管理することで、複雑な実装を大幅に簡素化しています。この料金体系の詳細はダッシュボードで設定するだけでよく、プランの変更や新プランの追加も、既存の処理を変更することなく対応可能です。

サブスクリプション管理機能も充実しています。「無料トライアル期間の設定」、「プランの切り替え時の日割り計算」、「解約時の返金処理」など、運用上発生しがちな処理も標準機能として用意されています。さらに、「基本料金+APIコール数に応じた従量課金」といった従量課金と組み合わせたハイブリッドな料金設計にも柔軟に対応できます。

新しい料金プランへの移行を特定の日時で自動的に実行する機能や、プラン変更時の請求額を自動計算する機能など、運用負荷を軽減する工夫も随所に見られます。価格改定の日の夜中に誰かエンジニアが一人残って作業する必要もないのです。

また、本番環境での思わぬトラブルを防ぐためのテスト環境では、時間をシミュレートする機能も提供されています。これにより、「月末の請求処理」や「解約時の返金処理」など、時間の経過に伴う動作を事前に確認することができます。

ステップごとに選択していくだけで料金体系を作成可能

ここで、実際の料金体系の設定を見てみましょう。なお、このダッシュボードは予め用意されたテスト環境で、Stripeに登録すれば誰もでも利用できるので、興味を持ったら実際に触ってみることをオススメします。

基本的に全ての料金体系は、「商品」に結び付いています。左のメニューから「商品カタログ」を選び、「商品の追加」を選択すると、登録画面が表示されます。ここで商品名や価格を登録するのですが、標準では固定単価の継続課金か、1回の課金しか表示されていませんが、その下にある「その他の料金体系のオプション」を選ぶことで、さまざまな料金体系の設定ができます。

試しに、APIサービスの料金体系を想定して、呼び出し回数ごとの従量課金で、呼び出した回数によって単価が変わり、100回までは1回当たり100円で、100回を超えて1000回までは50円、1000回を超えた分はすべて10円という料金体系を設定してみましょう。

「料金モデルを選択する」のメニューから「従量課金ベース」を選び、その下の課金単位のメニューで「数量ベース」を選びます。そうすると、その下に数量ごとの料金を設定する項目が現れます。そこで、先に決めた段階制の料金を指定します。

最初のユニットがそれぞれの料金段階が始まる数量、最後のユニットがその料金段階が適応される最後の数量、単価がその料金段階での1回当たりの課金額となります。それぞれ入力して、右側のプレビューのところに数量を入力すれば、想定料金が計算されます。

この時に、「料金モデルを選択する」の項目で、「数量ベース」ではなく「段階制」を選ぶと、1から100回までは100円で、請求額は最大で1万円で同じですが、100を超えた101回目以降の回数の単価だけが50円で計算されるようになります。

この他にも、ユーザー数ごとに課金する料金体系で、一定のユーザ数ごとに段階的に料金が増える体系であったり、従量課金と定額のサブスクリプションを組み合わせたりと、非常に柔軟な設定ができます。

メールアドレスだけでサービスの登録が可能

さて、ざっとご紹介してきましたが、Stripeの導入は、メールアドレスとパスワードを登録するだけで始められます。本番環境での決済には審査が必要ですが、テスト環境ではAPIキーを即座に発行でき、機能の検証をすぐに開始できます。また、コーディング不要の決済ページ「Payment Links」を使えば、開発リソースがなくても決済機能の導入が可能です。

初期費用や月額費用は不要で、決済手数料のみの従量課金制となっています。まずは小規模な決済機能から始めて、サービスの成長に合わせて段階的に機能を拡張していくことができます。本番環境への移行時も、テスト環境で十分に検証した実装をそのまま使用できるため、スムーズな導入が可能です。

サーバーレスペレーションズでは、Stripeを利用した課金システムの構築についても、導入事例でご紹介しているGeolonia様を初めとして、多くの経験があります。Stripeは開発者フレンドリーなサービスですが、決済については慎重に進めたいと考えるのは当然のことです。Stripeについて検討している、自分で取り組んでみたが分からないところがある、などなどお気軽にご相談ください。

Written by
編集部

Serverless Operations編集部

Editing Department

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