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クラウド時代における共創型受託開発を行うことの価値

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AWSを始めとしたクラウドが高度化し、様々なマネージドのサービスやサーバーレスなサービスが登場しています。クラウドの普及は事業者による内製化シフトを後押しし、その結果、従来の受託開発モデルがはらんでいた多くの課題が表面化しています。そうした変化が起きているからこそ、共創型受託開発をやることの価値について改めてお話しします。

従来の受託開発の課題

様々なところで語られているように、従来の受託開発モデルには、発注側と受注側双方にとって多くの問題がありました。発注側は「仕様変更に柔軟に対応してもらえない」、「高額な費用をかけても実際には使われないシステムができあがる」、「機能追加の度に費用と時間がかかる」といった不満を抱えています。

一方、受注する側も、「仕様変更が頻発して開発が終わらない」、「要件と技術的実現性のミスマッチ」に悩み、「製品の質よりも顧客の承認を得ることを優先」する傾向がありました。いずれにしても、従来の受託型の開発においては「あるある」の問題で、多くの事業会社と開発会社、そしてエンジニアが一度となく経験したことがあるでしょう。

これらの問題の根本原因は、開発の初期段階ですべての仕様を決定するウォーターフォール型のプロジェクトマネジメントと、それに伴って初期に決められた仕様をベースに開発費が決まり固定されるという契約形態にありました。この方法では、途中での変更が困難となり、市場のニーズに対応できなくなります。また、ユーザーが本当に求めているものを検証する機会も失われます。

特に近年は、社会情勢や自然災害などによってビジネス環境が変化する速度と幅が大きくなっています。日々状況が変化する中では、柔軟に目の前の新たな課題と向き合いながら、最適な道筋を模索していくことが求められています。

こうした問題への反省から、アジャイル開発の導入であったり、請負契約ではなく準委任契約を結んだりと、システム開発においても大きなトレンド変化が起きています。システムの開発においても、DevOpsであったりCI/CDといった概念が導入され、一度作って終わりではなく、運用しながら継続的に改善し続けることが当たり前になって来ています。そして、私たちが推奨する「共創型開発」とは、まさにこの状況下に適した開発スタイルなのです。

共創型開発の特徴と価値

共創型開発とは、特定の技術分野に特化した会社が、顧客のプロダクト開発チームの一員として参加し、共に製品を作り上げる開発スタイルです。この方式では、発注者と受注者という、ともすると上下関係にも繋がりかねない区分を取り払い、どのようなシステムを作るべきか、どのような仕様や施策が適切かを課題ベースでオープンに話し合うことを大切にします。

つまり、私たちServerless Operationsのエンジニアが、お客様の開発チームにひとりのメンバーとなって、お客様側のエンジニアと肩を並べ、議論をし、コーディングを行います。現在の市況を開発チーム全員で共有し、お客様の課題解決のためにシステムとして何を開発すべきか、どのような仕様にすべきかを検討します。

この共創型開発の特徴は、日々変化する状況に柔軟に対応するために、その時々で必要なスキルを持った人材をアサインし、その時点でフィーが発生する仕組みです。すべての要件を事前に決定して見積もりをするのではなく、月額または2〜3ヶ月単位の小ロットで契約を結びます。従って「契約したからこれを作らなければならない」という制約から逃れることができ、顧客とともに本質的な課題に向き合うことができます。それによって、変化に柔軟に対応し、その時々で最適な判断を下すことができるわけです。

クラウドと共創型開発の相乗効果

改めてクラウドの意義を考えてみましょう。前述のとおりサーバーレスやコンテナの発展により、インフラ管理といった付加価値を生まない作業をクラウド側にアウトソースできるようになりました。その結果、事業者はいかにして付加価値を生み出すか、というビジネスとしてのコア部分にエンジニアリングリソースを集中させることができます。サーバやネットワークといったインフラは、プロビジョニングだけでなくOSやミドルウェアのアップデート、建屋を含めたハードウェアのメンテナンス等々に、多くの手間と時間、そして専門性を必要とします。だからこそ、多くの企業では専門のインフラチームを設けています。

一方で、ビジネスサイドから見ると、新規プロジェクトにおいてインフラの調達であったり、管理・運用をインフラチームに任せることができるのはメリットですが、そこで機能、仕様、コストなどで制約があることが多いものです。何よりインフラの調達には一定の時間が掛かってしまいます。しかし、クラウドやコンテナ技術によって、そうしたインフラ調達に係る費用と時間は大幅に減り、更にサーバーレス技術ならば、コードを書いてから実際にプログラムを動かすまでのステップが大幅に簡略化されました。NTTコミュニケーションズやソニーといったデジタル領域の企業のみならず、トヨタや戸田建設といった企業まで、業種に限らずサーバーレスでの内製開発に取り組み始めているのはこのためです。

これからの開発会社の新たな役割

企業は、新たなITシステムを必要とした際に、「クラウドによって内製できないか」と最初に考えるように意識が変化しています。この状況において、私たちのような開発会社は、単なる労働力の提供では付加価値を生み出すことができません。そこで強みを生み出すためには、特定の技術分野におけるスペシャリストが、内製化に取り組む事業会社の初期の段階から支援を行い、開発体制を適切な規模に納め、かつ開発を成功させることにあります。つまり、顧客のビジネスを技術面から加速させるパートナーになることに価値を見出すべきです。

Serverless Operationsがお客様の支援を行う際も、まずお客様とともにひとつのチームとして活動し、MVPによるファーストリリースを目指すマインドセットの共有から始まります。その際も、実際にエンジニアとして開発チームにコミットし設計・開発を全面支援する場合から、チャットを通して開発チームから随時相談に応じる形まで、様々なレベルでのご支援を行っています。

サーバーレスが広く普及し、エンタープライズレベルのサービス品質に応えられるようになった今、事業会社の内製化シフトはますます進むことでしょう。その時、私たちのような開発会社は、お客様との共創型開発にシフトし、顧客と一緒に「良いものを作る」というマインドを共有した同じチームであることが大切です。そこでは、プロダクトの質を向上させてビジネス価値を創出するため、真のパートナーシップを築くチャンスが生まれています。そして、これこそがクラウド時代における受託開発の新たな意義なのです。​​​​​​​​​

Written by
編集部

Serverless Operations編集部

Editing Department

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