API Gatewayの役割とメリット
API Gatewayは、APIの開発、公開、運用を効率的に行えるフルマネージドサービスです。API Gatewayで作成したAPIは、パブリックなWebサービスとして公開することも、自社内でのプライベートな利用も可能です。APIの利用時に認証・認可の設定を行ったり、一定の利用数を超えたら制限を掛けたりするなど、有償のAPI提供にも使える柔軟な設定が可能です。
API Gatewayの役割は以下の通りです。
- インフラ管理: API GatewayはAWSのマネージドサービスであるため、サーバーの管理やスケーリングなどのインフラ管理をAWSに任せることができます。これにより、開発者はインフラ管理の負担から解放され、API開発に集中することができます。
- API管理: API Gatewayは、APIのバージョン管理、デプロイ、分析などの機能を提供し、APIの一元管理を可能にします。APIの変更履歴や利用状況などを容易に把握できるため、APIの品質向上や改善に役立ちます。
- 認証と認可: API Gatewayは、認証と認可の機能を提供し、APIへのアクセスを安全に管理することができます。IAM認証、Lambdaオーソライザー、Cognitoオーソライザーなど、様々な認証方式をサポートしており、APIのセキュリティ要件に合わせて適切な認証方式を選択できます。
- トラフィック制御: API Gatewayは、スロットリングの機能を提供し、APIへのアクセスを制御することで、バックエンドのリソースを保護することができます。スロットリングにより、APIへの過剰なアクセスを防ぎ、バックエンドの負荷を軽減することができます。
API Gatewayで何が実現できるのか
具体的にAPI Gatewayを利用することで実現可能なユースケースを見ていきましょう。
- マイクロサービスのAPIゲートウェイ: 複数のマイクロサービスを統合して、統一されたAPIとして公開することができます。API Gatewayは、各マイクロサービスの認証、認可、トラフィック制御などを一括して行うことができます。
- WebアプリケーションのバックエンドAPI: Webアプリケーションのフロントエンドから呼び出されるAPIを構築します。API Gatewayは、認証、認可、データ変換などの機能を提供し、バックエンドのロジックを簡素化することができます。
- モバイルアプリケーションのバックエンドAPI: モバイルアプリケーションから呼び出されるAPIを構築します。API Gatewayは、モバイルアプリケーションの特性に合わせてAPIを最適化し、パフォーマンスを向上させることができます。
- IoTデバイスのAPI: IoTデバイスから送信されるデータを処理するAPIを構築します。API Gatewayは、大量のデータを効率的に処理し、バックエンドに負荷をかけずにデータを収集することができます。
API Gatewayの主な機能
API Gatewayの機能について簡単に説明します。
API Gatewayが対応しているのはRESTとWebSocketの2つですが、最も一般的なRESTと、双方向通信が可能でチャットなどで多用されるWebSocketがあれば、多くのユースケースはカバーできるでしょう。
また、APIでは、アクセスするためのエンドポイントとなるURLが必須ですが、API Gatewayでは、パブリックアクセスができるものかプライベートか、またパブリックアクセスでも大量のアクセスが想定されるもの(エッジ最適化)か、特定のリージョンからのみのアクセスを想定したもの(リージョン)、それぞれに合った設定ができます。
APIへのアクセスを制限する場合も、AWS Identity and Access Management (IAM) を利用した認証、Lambda関数を利用した柔軟な認証、Amazon Cognitoを利用したユーザー認証を選ぶことができます。ユーザーごとにトラフィックを制御するクオータや、負荷に応じてAPI全体の利用をコントロールするスロットリングも可能です。
パブリックなAPIを公開する際に気になるセキュリティですが、AWS WAFと連携可能なので、脆弱性への対応やDDOS攻撃などへの対応はカバーできます。マネージドサービスなのでOSへのパッチ適用など、インフラ面のメンテナンスについては、全てAWSが行ってくれるのも心強いです。
なお、API GatewayでREST APIを作成する場合には「REST API」と「HTTP API」の2種類のAPIタイプがあります。REST APIの方が様々な設定項目が利用でき認証手段も多様な一方、HTTP APIは細かな設定はできませんが、素早くAPIを作成することができます。レイテンシーもREST APIより小さく利用料も安いというメリットがあります。
まとめ
AWS API Gatewayは、モダンなWeb APIの開発・運用を効率化するための強力なツールです。特に、サーバーレスでのシステム開発において、Web APIの存在は非常に大きな役割を果たします。
現在のモダンなアプリケーション開発においては、APIは必要不可欠な存在です。自社やグループ内の業務システムなどで共通で利用できるデータやシステムをAPI化することができ、それによって新たな開発の省力化ができます。
また、金融やAIなどの高度で複雑なシステム、また映像や音楽といったコンテンツを取り扱うAPIには有償で提供しているものもあり、API自体がビジネス機会の創出となるケースもあります。
APIの構築をサーバーレスアーキテクチャで可能な点も、大きなメリットです。API Gatewayを利用することで、企業はAPIの開発・運用・管理に係るコストを削減し、新しいビジネスの創出と、顧客体験の向上にフォーカスできます。
私たちは、サーバーレスアーキテクチャでの開発に際してAWS API Gatewayを活用しており、様々なケースを担当してきました。従来のシステムをAPIを活用したサーバーレス化を考えている、または自社のリソースをAPI化してビジネス機会を創出したい、といった課題をお持ちでしたら、ぜひご相談ください。